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研究/レポート

Parlayの最新動向

キャリアビジネスを“脱・電話”に導く
API群(後編)

日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウエア開発研究所 WPLC&パーベーシブ・ソリューション開発 WPLCプロジェクト担当 部長 島弘道(たかしま・ひろみち)

 
ネットワークの違いに縛られないテレコムアプリケーションを実現する「Parlay/OSA API」。後編では、具体的な活用例をいくつか紹介する。コールセンター・アプリケーションやオフィス電話を介した新サービス、位置情報やプレゼンス情報の活用例と、そこから生み出される価値やビジネスモデルの可能性にも言及。併せて、Parlay APIの標準化と普及に向けたIBMの取り組みの一部を紹介する。

 

 

4. Parlayで実現可能なソリューション

 「Parlay/OSA API」を使うことで、どのようなサービスの構築が可能になるのか。以下に代表的な例を挙げてみよう。

 

4.1 企業内アプリケーションやDBとの連携

 既存の企業情報システムのアプリケーションやデータとの連携は、Parlayがもたらす大きなメリットのひとつである。
 コールセンターに代表されるように、顧客情報等を格納したバックエンドDBとの連携は、通信アプリケーションにとって必要不可欠な機能である。だが、従来キャリアから提供されていたIPセントレックス等の仕組みでは、セキュリティ等に問題があったため、PBXを介して連携させる形が一般的だった。だが、Parlayを使えば、PBXに依存していた呼制御等の電話機能を、キャリアのサービスへと外出しにできる。
 もちろんPBXを使えば、ビジネスアプリケーションと電話機能を連携できるが、これこそParlay/OSAが目指すものに他ならない。ParlayによってPBXを撤去できれば、ユーザー企業はPBXの維持費用や保守費用、さらにPBX上にアプリケーションを構築するための費用が不要となり、情報システムの維持に大きく貢献する。
 在宅勤務のコールセンターオペレーターに対する業務支援も容易になる。通話はもとより、ルーティング等の各種制御を含むすべての電話機能を、キャリアへとアウトソーシングするわけだ。
 Parlayによってアプリケーションと電話機能の接点は、キャリアが提供するサービスへと位置を変えることになるのだ。

 

Parlayで構築するコールセンター機能

 

 

 

4.2 オフィス電話の秘書サービス機能

 オフィス電話の秘書サービス機能は、身近でポピュラーなものになった。顧客の電話に的確に対応することは、ビジネスチャンスを逃さないための秘訣である。
 Parlay APIを使えば、外部からの電話に一層的確に対応できるようになる。例えば着信をトリガーにして、受話器を上げる前にアプリケーションを起動できる。アプリケーションには発信者番号と宛先番号が通知されるため、その情報を元にグループウェアと連携したり、迅速な在席確認が可能となる。スケジュール管理ソフトの上で「会議中」が確認されたら、PCの画面上に不在着信記録を表示し、顧客には「只今、会議中のため電話に出られません」といったメッセージをIVRが流す。
 アプリケーションからの発呼も簡単になる。既存の電話帳ソフトに付加されたクリック・ツー・コールのボタンを押すだけで、自分の携帯電話や卓上の電話機から簡単に電話を発信できる。従来のようにPCで電話番号を調べ、その番号をダイヤルするといった操作がワンアクションで完了する。

 

秘書サービス機能(Call Control Service)

 

 

4.3 フィールドフォース・オートメーション

 Parlayはプレゼンス情報やアベイラビリティー情報、位置情報の活用を促進する。
 スケジュール管理など、個人のアベイラビリティーの確認をシステム的に行うような局面は、今後ますます増えていくと予想される。
 Parlayには「Presence and Availability Management(PAM)」と呼ぶAPIが規定されている。キャリアシステムの中で、「着信可」や「話中」等々といった可用性を通知するためのものだ。これを、Parlayで取得可能なロケーション情報と結びつけて利用すると、作業者の最適配置を比較的簡単に実現できる。この種のアプリケーションは、「フィールドフォース・オートメーション」と呼ばれる。
 例えば自動車の故障時に、JAFのトラックが駆けつけるシーンを想定してみよう。ロケーション情報やアベイラビリティー情報によって、顧客の携帯電話の位置や、トラック車輌の位置や稼働状態が事前に判明していれば、最も近くにいるアベイラブルなトラック車輌を簡単に探して手配できる。
 このようにParlayを使用することによって、これまで人手を介して判断してきたことがらをシステムが自動的に判断し、結果・指示を電子メールやボイスメッセージで通知するといったことも、比較的簡単にできるようになる。企業のバックエンド・アプリケーションと、Parlayによって提供可能となるキャリア網内のリソース−−従来は連携できなかったこの両者を組み合わせることで、全く新しい価値を生み出すシステムが構築可能になるのだ。

 

5. IBMのParlay戦略と製品

 パーレイグループのプレジデント(代表)は、2005年秋まで、英国IBMのジグムント・ロジンスキーが務めていた。作業部会の活動では、Web Servicesワーキンググループの発足以来、米国IBMのジョー・マッキンタイラーが座長を務めており、Web Servicesと関係の深い「Parlay-X」の仕様策定に大きく貢献してきた。こうした実績からもわかるように、IBMはパーレイグループの活動に積極的に参画している。
 各メンバーミーティングで実施されるデモンストレーションや、ショーケースのプレゼンテーションにも積極的に参画し、Parlayの普及拡大に尽力している。特にダブリンとサンディエゴのミーティングでは、Parlayを使った実際の業務アプリケーションのデモを披露。会場に設置された「IBM Webshere Everyplace Server for Telecom(WES-T)」の上で稼働させ、注目を浴びた。
 IBMは02年2月に香港で開催されたメンバーミーティングにおいて、最初のParlay準拠製品である「WES-T V2.0」の開発意向を表明した。WES-TはParlayクライアントとして動作するアプリケーションサーバーソフトで、図5および図6の機能を備える。こうした製品の拡充によって、Parlay/OSA APIおよびParlay-X Web Servicesの価値が、広く具現化されていくものと考える。

 

(たかしま・ひろみち)

 

IBM WES-Tの特徴

 

 

 

IBM WES-Tが提供する機能