ソリューション・ファイル
2005年1月にリリースされた「BEA WebLogic Communications Platform」は、3GPP Rel.5仕様に完全準拠したIMS SIPアプリケーションサーバー製品と、テレコム分野向けのWebサービス基盤製品を包含。IMSサービスの開発・提供・管理に必要なインフラ機能を網羅している。
IMSは総IP化されたインフラであり、データ、音声、マルチメディアの各サービスを提供する。これを従来からの電気通信網と統合するには、柔軟で堅牢なネットワーク・アプリケーション実行環境が不可欠になる。そして費用対効果の高い付加価値ネットワークサービスの実現には、可用性と処理性能に優れたアプリケーションサーバー(以下APサーバー)プラットフォームが求められる。これは従来システムと次世代システムの間でシームレスに相互運用でき、サービスの迅速な作成、テスト、デプロイメントを促進する開発環境を提供せねばならない。 IMS標準はSIPをベースにしている。SIPはインターネット標準技術の1つとして、すでに広く採用されている。IMSネットワークのアプリケーションサービス層では、強化された機能豊富なネットワークサービスへ道を拓くだけでなく、IMSアプリケーションの複雑さを軽減するためにも、SIPインタフェースとIMS SIP APサーバーをサポートしなければならない。IMSの複合型アーキテクチャにおけるIMS SIP APサーバーの役割は、以前にも増して、通信事業者の成功にとって本質的で欠かせないものになっている。 BEAは2005年1月、通信ネットワーク層に対応する製品群「BEA Weblogic Communications Platform」(以下WLCP)を米国でリリースし、新たな市場要求に応える準備を整えた。以下、この製品群が、通信事業者によるIMSネットワークサービスの実現をどのように支援していくのかを明らかにする。
スィート製品でIMSのAPインフラをカバー
IMSの仕様は3GPP(3rd Generation Partner Project)の「Release 5」および「Release 6」として定義されている。これにより、多数のネットワーク機能を複数のアクセス網で再利用したり共有することができ、サービスの迅速な開発とデリバリが可能になる。このため、既製のAPサーバーやIDEツール(統合開発環境)からもネットワークを利用できる。このアーキテクチャの構成要素は図1のとおりだ。
図1:IMSネットワークのアーキテクチャ
BEAはこれまで、一般ユーザー企業やサービスプロバイダー向けに、J2EEベースのアプリケーション・インフラストラクチャ・プラットフォーム・ソフトウェアを提供してきた。大手APサーバーベンダーとして、ITと電気通信技術の融合に加え、固定網、モバイル網、IP網の統合にも深く関与してきた。 今日、多くの通信事業者は、こうしたテクノロジとネットワークの2次元的な統合を実現しつつある。これは次世代のIMS標準アーキテクチャである「IPマルチメディア通信サービス」の実装によってなされている。 BEAはAPサーバーとトランザクション処理プラットフォームのリーディングプロバイダである。このことは、通信事業者のOSS/BSS市場でも広く認められてきた。さらに今回、冒頭に紹介したWLCPを投入したことで、IMSアプリケーションインフラの領域もカバーすることになった。 WLCPは2種の主要モジュールで構成されている。IMS SIP APサーバー本体である「BEA WebLogic SIP Server」(以下WLSS)と、Webサービスのプラットフォーム「BEA WebLogic Network Gatekeeper」である。 後者は強力なポリシー実行、サードパーティ/パートナー管理、それに電気通信分野のWebサービス機能を提供する。これを高性能なSIP APサーバーと組み合わせることで、通信事業者にとって類のないIMSサービスの開発・デリバリ・管理プラットフォームが実現できる。 特にIMSのアプリケーションサービス層は、ビジネスロジックやセッションロジックがホストされる場所だ。ここにWLSSのようなJ2EEベースの標準的なAPサーバーを適用することは、非常に重要な意味を持つ(図2)。
図2:BEA WebLogic Communications Platform(WLCP)の概要
3GPP Rel.5が規定するSIP APサーバーの要件
IPマルチメディア通信サービスを統合ネットワーク環境の上へデリバリすることは、収益を増やしコストを減らす道筋を通信事業者に示す。これこそが、3GPP IMSネットワークの威力と価値である。この提案を可能にする上で、中心的な働きをするのはSIP APサーバーだ。 3GPPのRelease 5は、IMSのアプリケーションサービス層に置かれるSIP APサーバーの仕様を定めている。その中では、「IMSサービスのロジックをホストし実行するエンティティ(実体)として、一連のIMSサービスと機能を提供する存在」と定義されている。 なおIMSには、CSCF(Call State Control Function)やMRF(Media Resource Function)といったセッション制御層要素が規定されているが、これはSIPネットワークサーバーであり、アプリケーションやサービスのホスティングおよび実行は行わない。 3GPP IMS仕様は、3GPP SIP APサーバーが備えるべき一連の中核的なインタフェース、機能、役割を明示している。この条件を満たすには、単にJ2EE対応APサーバー上にSIPのプロトコルスタックを実装したのではだめだ。また、IMSコアネットワークに、SIPプロキシなどのSIPネットワークサーバー要素を実装しただけでもだめだ。 必要となる主なインタフェースは、「ISC(IMS Service Control)参照ポイント」である。ISCはSIPをベースとし、アプリケーションサービス層のSIP APサーバーが、IMSコアネットワークのS-CSCFノードとやり取りできるようにする。ISCによってSIP APサーバーは、IMS UEや他のSIP APサーバーとの間で、SIPメッセージを交換できるようになる。 ParlayやCAMELなどの非SIP型APサーバーも、それぞれParlay/OSAゲートウェイやIM-SSFのISCサポート機能を通じて、IMSコアネットワークとSIPメッセージを送受信する。
完全なIMS SIP APサーバー「BEA WebLogic SIP Server」
WLCPスィートには、前述のようにIMS SIP APサーバーが含まれている。このWLSSは、SIP Servlet(JSR-116)に準拠しており、業界で初めてJ2EE-SIP統合サーブレットコンテナを実現した。 この製品は3GPP Rel.5が規定するISCインタフェース、IETF SIP RFC、およびISCサポートのための3GPP RFC拡張機能を完全に満たしている(図3)。IETF SIP RFCは、WLSSがSIPネットワークサーバーの役割を遂行する上で必要となる仕様である。
図3:IMSにおけるBEA WebLogic SIP Server(WLSS)とBEA Weblogic
キャリアグレードのJava実行エンジン「JRockit」
BEAではサーバーサイドアプリケーションに最適化されたJava実行エンジン「JRockit」を提供する。これを使えば、SIPアプリケーションをはじめとするWebLogicプラットフォーム上のアプリケーションのパフォーマンスを、最大限に発揮させることができる。 また、キャリアグレードアプリケーションの実行環境を語る上で、アプリケーションが実行される各スタック間の親和性を忘れてはならない。例えば、APサーバーとJava実行エンジンとの相性、Java実行エンジンとOSの相性などだ。JRockitはOSやAPサーバーとの間で高い親和性を保ち、高いパフォーマンスはもちろん、高い可用性も実現する。
導入するAPサーバー次第で事業の成否が左右される
IMSは、リアルタイム、マルチメディア、マルチパーティの通信サービスを、開発しデリバリするための業界標準仕様になりつつある。世界的に見れば、IMSネットワークの評価段階にある事業者もあるし、デプロイ段階にある事業者もいる。いずれにしても世界の通信事業者は、自らの固定網・無線網・IP網を発展させて、統合ネットワークを構築しようとしている。これに伴い、SIPアプリケーションの開発実行環境は、IMSサービスの迅速な開発とデプロイのための重要な考慮事項になった。 IMSのアーキテクチャは、NGNの中核要素になるだろう。3GPPと3GPP2は標準的なセッションプロトコルにSIPを採用し、IMSネットワークでSIP対応のリアルタイム・マルチメディア通信アプリケーションをデリバリできるようにした。 通信事業者はIMSへ投資し、最大限の収益を得ようとしている。鍵となる要因は、どのサービスプラットフォームにデリバリするか、具体的には、導入するSIP APサーバーについて戦略的な判断を下すことだ。 この重大な決定により、通信事業者は戦略的なサードパーティや開発パートナーに対して、自社のIMSネットワークを安全に公開する方法を決めることができる。さらに、投資を迅速に収益に転換するための新しいSIPサービスの在り方も決まる。 BEAのWCPスィートに含まれる2製品を利用すれば、通信事業者はIMSネットワークを速やかに自社の収益源とし、サードパーティからのアクセスを安全に制御できるようになる。
高山義泉 Yoshimoto Takayama |