ソリューション・ファイル
サンはNGNのプラットフォームに最適なサーバー製品群「Netra」を用意している。次世代のCPUアーキテクチャを開発し、飛躍的な高スループットを実現。 ATCAやSAFといった業界標準の採用と、拡張性の高い製品ラインナップにより通信事業者の投資を保護しつつ、ユビキタス時代のシステム要件に対応する。
NetraサーバーはNEBS、DC電源対応、製品ライフサイクル管理など、従来から通信事業者が求めてきた要件を兼ね備えている。このため、世界中の広範なネットワーク機器ベンダーに広く採用されてきた。 この実績の上に、さらに今後は以下の新しい価値を提供していく。 @ユビキタスネットワークを想定した新しいCPUテクノロジーの投入 A業界標準規格のリードと長期的なTCOの削減 B時代の潮流にあわせた多彩なプラットフォームの選択肢 これらによってNGNプラットフォームの進化を牽引してくことが、テレコム市場におけるサンの役割であると考えている。以下、@〜Bについて、具体的な取り組みの一端を紹介していくことにする。
ユビキタス社会に必要なサーバー・プラットフォーム
サン・マイクロシステムズは創業以来、「The Network is the Computer」というスローガンを掲げ続けてきた。この予見どおり、いよいよ本格的なネットワークコンピューター時代が幕を明けようとしている。 90年代からPCや携帯電話、その他の多数の電子デバイスが、次々にネットワークへ対応するようになった。インターネットとJavaという2つのコア・テクノロジーの出現が、その契機となったことは言うまでもない。 そして2012年には、従来からあるネットワークデバイスの数が、約170億個に達すると見られている。だが同じ年に、センサーデバイスやICタグは1兆個に達する(図1)。 食品・書類・貨物など、ありとあらゆるモノにICタグが埋め込まれる。そのログ情報やステータスの更新情報が、リアルタイムにネットワークとデータセンターの間を駆け巡るようになる。 1兆個ものデバイスからの要求に瞬時に応答にするのは、どんなサーバーマシンだろうか。 それは従来のような、科学技術演算用のSMP(Symmetric Multiple Processor)マシンでもなければ、ファイルサーバーやアプリケーションサーバーのように情報処理に最適化されたマシンでもない。もっともっとネットワーク・スループットに優れたコンピューターが必要となる。
図1:ネットワークコンピューター社会の成長
次期CPU UltraSPARC T1がスループットを大幅向上
サン・マイクロシステムズは2005年秋、UltraSPARC T1(開発コードネーム:Niagara)と呼ぶ次世代CPUを発表した。これは「SPARC V9アーキテクチャ」をベースとし、最新鋭の「CMT(Chip Multi-Thread)テクノロジー」を採用することで、従来にないスループットを実現。今後のNetraサーバーの主力CPUの1つとなるものだ。 UltraSPARC T1は小さくシンプルなCPUコアを1チップ内に複数並べ、それをクロスバ配線で結合することによって実現される。この構造により、XeonやItanium2に代表される複雑な命令・演算ユニットや、チップ内を占有する巨大なキャッシュメモリーを排除している。 サンがCPUのアーキテクチャを大きく変えたのには理由がある。実アプリケーションのパフォーマンス向上の観点から見て、CPUの周波数競争が限界に達しているからだ。 この数年間、CPUのクロック周波数の劇的な向上に比べ、メモリーは高速化を実現することができなかった。今を代表する命令演算回路の複雑なCPUは、メモリーのボトルネックが原因となり、CPUパワーの実に約70%をアイドル時間に費やしている。これは有名な話だ。 UltraSPARC T1はこのメモリーボトルネックを解消し、スループットを向上させることにフォーカスして設計されている(図2)。 具体的には、1つのチップに8つのCPUコアを搭載し、1つのCPUコアに4つのスレッドを具備。チップ全体では32スレッドを処理できる。 また、1つのコアで処理される4つのスレッド同士は、並行処理の考え方を採らない。1つのスレッドがメモリーアクセスへ入ると、次のスレッドへ移行する方式である。こうすればメモリーの待ち時間を隠蔽できる。 さらに以上の結果、電力消費効率も極めて高くなる。実際のCPU単体(32スレッド)の消費電力は約70W以下であり、ブレードサーバー等に最適になるよう仕上がっている。 このCMTテクノロジーは、Solarisという優れたマルチスレッドOSと極めて相性がよく、高い性能を実現することになる。
図2:次世代CPU「Niagara」(コードネーム)が実現する「CMTテクノロジー」
業界標準規格の準拠とTCOの削減
現在、ネットワークシステム・プラットフォームの潮流は、従来のハードウェアベンダーの独自規格を離れ、業界標準規格へと大きく移行しようとしている。 その代表格が、ハードウェア規格の「ATCA(Advanced Telecommunication Computing Architecture)」、それにクラスタ構成やサービスの可用性をマネージメントするための「SAF(Service Availability Forum)」規格である。 この2つの標準がもたらすメリットは、ハードウェアの製品価格を下げるといった、目に見える短期的効果に止まるものではない。むしろ、長期のTCO(総保有コスト)削減にこそ、より大きな効果が現れる。 まず、ハードウェアの保守管理方法が簡潔化され、メンテナンス費用が抑制される。 また、マネージメントミドルウェアやクラスタミドルウェアと、アプリケーションとが相互に分離される。これはシステムのブラックボックス化を防ぐ。結果、オペレーションコストのほか、プロビジョニングやアプリケーションの開発コストが削減可能となる。加えて、ISV(Individual Software Vendor)やIHV(Individual Hardware Vendor)のソリューション導入も、よりスムーズになる。 システムの開発・保守・運用にかかるコストは、通信事業者を最も悩ませていた部分だ。標準化とオープン化の進展は、この問題の解消に大きく貢献するだろう。 そしてコンピューターシステムのオープン化を牽引してきたサンは、Netraサーバーが業界標準に100%準拠することをコミットしている。
図3:NGNプラットフォームに多彩な選択肢を用意
時代の潮流に即したプラットフォームの選択肢
ユーザーがNetraサーバーの導入を検討する際、大きなポイントとなるが選択肢の多さである。 サンは従来の1wayから12wayまでのラックマウント型サーバー群と、ATCA規格のブレードサーバー群をラインナップしている。いずれのサーバー群にも、従来の「UltraSPARC」に加え「UltraSPARC T1」「AMD Opteron」というCPUの選択肢を用意。SolarisとキャリアグレードLinuxの選択肢を提供する(一部予定)。 OpteronはUltraSPARCと並ぶサンの主力CPUであり、x86市場をカバーするために用意されたものだ。Xeon EM64Tとの間でバイナリー互換を実現しながら、Xeonと比べてパフォーマンスと消費電力の点で大きな優位性を持つ。 しばしば通信事業者からは、「新しいサービスを投入する際は、スモールスタートで始めたい」という要望を聞く。当るか当らないかわからないサービスは、最小限の投資から始めたいと考えるのは当然である。 そんな時サンなら、1Uや2Uサイズののラックマウント型サーバーを提供できる。しかもバイナリー互換が保証されているので、将来ラックマウント型からATCA型へと容易に移行させることができるわけだ。 また、新規システムの開発案件では、別の悩みを耳にすることがある。例えば、あるアプリケーションはLinuxベースであるが、既存のSolarisベースのアプリケーションと連携して使いたい。しかし管理システムのインテグレーションや保守性の向上を考えると、どちらか一方のOSに載せ替える必要がある、といった悩みだ。 こうした場合でも、サンのNetra ATCAサーバーを適用すれば、LinuxとSolarisを混在させながら、同一筐体内でたやすくコンソリデーションすることができる。 Netraサーバーは、サンが提供するNGNプラットフォームの中枢である。最後にその特徴を表にまとめておくことにする。
表:サン・マイクロシステムズが提供するNGNプラットフォームの特徴
中島隆行 Takayuki Nakajima SUN ATCA http://www.sun.com/atca
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