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インタビュー

通信インフラの自由化は止まらない
OSSのテーマは顧客との関係強化へ

 

 

ギー・ドゥボワ

英クレーマー・システムズ 社長兼最高経営責任者(CEO)
Guy  Dubois

 
通信ネットワークの資源・資産を集中管理するクレーマーのOSSアプリケーションは、NGNで重要な役割を担うと期待される。「すべての通信事業者の中心テーマが“顧客をいかにコントロールするか”に変わった」と語る英国本社のギー・ドゥボワ新社長は、インフラ専門の水平統合型事業モデルに異議を唱える。

 

社長就任から5カ月、クレーマーの印象を語るとしたら。

 CTOのドン・ギブソンをはじめ、共同創業者の3人ともが今も在籍している点を見れば、この会社の成功と将来性がわかる。製品はドン・ギブソンが長年の通信事業者時代、幾多の難問に直面するなかで切望した究極のソリューションを、自らの手で形にしたものだ。

 
クレーマーのOSS(Operation Support System)アプリケーションは、Oracleのストアドプロシージャから出発したと聞いた。サイベースやバンティブ、ピープルソフトの要職を歴任したドゥボワ新社長には、やはりデータベースやCRM、ERP分野での実績や手腕が期待されているということか。

 概ねそうかもしれないが、誤解を避けるとすれば、当社の製品は特定のソフトウェア・プラットフォームに依存するものではないということを言っておきたい。IBMのWebSphere、BEAのWebLogic、それにオラクルのAPサーバー上で動作するJ2EE(Java2 Platform, Enterprise Edition)ベースの製品であり、通信キャリアのSOA(Service Oriented Architecture)を実現する。OSSに対して、柔軟でスケーラブルな、そして“最もモダンなアーキテクチャ”を提供する。これはテレコムサービス・アプリケーションの標準化とオープン化に寄与するだろう。

 

顧客を巡る大競争時代へ

NGN(次世代網)への移行に伴い、今後OSSはどのように変わっていくと見るか。

 まず、OSSに何が起こっているかを整理しよう。今、世界のキャリアが共通して直面しているのは、「テクノロジー指向」から「サービス指向」への移行局面である。中心テーマは「顧客をいかにコントロールするか」に変わった。新しく登場するxSPを含め、すべての事業者が顧客を掴むための熾烈な競争を繰り広げている。テレコムオペレータはxSPとの差別化を図るため、新しい革新的サービスを提供する必要に迫られている。
 この先5〜9年の間に、電話はインターネット上で無料化される。ネットワーク技術全体がIPへシフトし、マルチメディア通信が普及する。システムは交換機からコンピュータへ、ハードからソフトへ移行する。その中で、サービスのジェネレーション(生成)とオリジネーション(独自化)が、リアルタイム・アクティベーション(即時起動)を含めて、自動化されねばならない。クレーマーがもたらそうとしているのは、まさにこれだ。

 
「xSPとの競争」とのことだが、MVNO等にインフラを提供するビジネスモデルもある。最後まで残る物理インフラに責を負う形だ。クレーマーはそうした、通信事業者にとって最もコアな事業領域を対象にしていると理解していたが。

 オペレータのビジネスモデルは興味深いが、もっと話を押し進めるべきだ。「新しいxSPにインフラを提供する」としよう。では、Skypeはどう考えるのか。スカイプ社が莫大な広告収入を得る一方で、オペレータはインフラに何十億ドルも投資しながら、得るものがない。
 私の方から逆に尋ねたい。「インフラにこそ責任を負う」というが、通信キャリアは役所かサービス業か、どちらだと思うか。

 
そう考えると、結局、産業政策の問題になってしまう。

 答はすでに市場が出している。トレンドの形成を待つまでもなく、コミュニケーションインフラの自由化は誰も止められない。だから顧客を巡って競争になるのであり、「顧客中心」に向かわざるをえないのだ。
 当社はSkypeのコミュニティ等を含め、すべてのイニシアティブを支援していく。ただし重要なのは、適切なサービスが適切な価格で提供されながら、自由化のメリットが享受されねばならないということだ。そうしたサービス開発や顧客重視のプロビジョニングに取り組むテレコムオペレータから見て、クレーマーは最も優れたソフトウェアベンダーでありたい。

 

OSSアプリをさらに拡充する

現在のクレーマー製品は、ネットワークの機器とサービス資源にわたる計画系と実行系をカバーしているが、運用系をカバーするアプリケーションの投入計画はあるか。

 運用系にはBSS(Business Support System)が絡み、全く違うドメインとなるので、参入するつもりはない。OSSの中にも、根本的に異なる2つの需要がある。サービスやノードの計画から生成・起動に至るフルフィルメントプロセスと、SLAや冗長化等のマネジメントプロセスである。当社は前者にのみフォーカスしており、後者に手を出してはならないと考えている。当社のシステムの強みは、あらゆるネットワークの資源と資産を一元管理し、オンタイムでの最適化を可能とする点にある。

 
すでに製品は完成しており、今後、大きな開発投資をする必要はないということか。

 いや、アプリケーション開発に終わりはない。詳細は話せないが、2006年早々にも新しいアプリケーションセットを投入し、その分野でも業界のリーダーとなるつもりだ。

 
既存のネットワークオペレーション業務を支援したり自動化する製品か、それとも、まだ誰も見たことのないものか。

 従来の技術インフラを代替するものではないが、新しいアプリケーションであることは確かだ。
 ひとつは優良顧客との関係を強化するものだ。テレコムオペレータが通信容量を管理する時、当該ネットワークのユーザーに対してビジネス視点から優先度クラスを設定できれば、すぐれたサービスリソースを誰に売るべきかが即座に判断できる。
 もうひとつはサービスカタログだ。顧客から電話でサービスオーダーが入ると、BSSを介してオーダー情報を取り込み、ネットワークの要件仕様に自動翻訳する仕組みだ。

 
それは面白そうだ。最後に日本の通信事業者に何かメッセージを。

 NGNへの移行を加速するために、是非、クレーマーのOSSアプリケーションを役立てて欲しい。


(聞き手:松本昭彦)